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輪に入れない子は、拒んでいるのではなく、外から練習しています

執筆者の写真: 久美子 加藤
久美子 加藤
8月31日
読了時間: 3分

2学期に転園してきた4歳のKくんは、リトミックの時間になると、いつも部屋のすみにいました。

担任の先生が誘っても、首を横に振ります。手を引こうとすると、体を固くする。

「無理に入れないでおきましょう」

そう話して、そのままにしました。


誘わない、という選択

保育をしていると、輪に入れない子を見たときに声をかけたくなります。それが仕事だと思うからです。

でも、誘うという行為には、もうひとつの意味が含まれています。**「あなたは今、入れていない」**というメッセージです。

本人がいちばんそれを分かっています。分かっているところに繰り返し声をかけられると、その場所は「できていないことを指摘される場所」になります。

だから、そのままにしました。見ないのではありません。見ているけれど、声はかけない。


3回目に起きたこと

3回目のとき、Kくんが立っていました。

輪には入りません。すみのほうに立ったままです。

でも、みんながジャンプしたとき、Kくんの膝が同じタイミングで曲がっていたんです。

体のほうは、もう参加していました。

見ているだけに見える子が、何もしていないわけではありません。音を聞いて、動きを覚えて、頭の中では一緒にやっています。あとは体が出ていくタイミングを待っているだけです。

これは0歳児クラスでも同じことが起きます。反応がないように見える子が、心の中では歌っていることがあります。


6回目、誰も気づかないうちに

6回目のことです。

誰も気づかないうちに、Kくんは輪の中にいました。

担任の先生が私を見て、少しだけ笑いました。何も言いませんでしたが、通じていたと思います。

もし声をかけ続けていたら、たぶんもっと時間がかかりました。「入りたくない」が「入らされそう」に変わって、そこから逃げる時間が必要になるからです。


待てる時間は、どのくらいですか

とはいえ、現場では待てないこともあります。

行事が近い、記録に残さないといけない、保護者に聞かれる。そういう事情があるのは当然です。

なので、こう考えていただけたらと思います。

「入れない子」ではなく「外から練習している子」と呼び方を変えるだけでも、待てる時間が少し伸びます。

同じ状況を見ていても、頭の中の言葉が変わると、焦り方が変わります。


音は、誘わなくても届きます

言葉で誘うと、その子は「返事をするかどうか」を決めなければなりません。断るのにも力がいります。

音は違います。鳴っているだけで、部屋のすみにも届きます。 返事をする必要がありません。

だから、輪に入れない子がいるクラスほど、音を使った活動が向いています。誘わずに、参加の入口だけ開けておくことができるからです。

リトミックは、決まった振りを覚えるものではありません。音を聞いて、自分で考えて、自分のタイミングで動くものです。すみで膝を曲げていたKくんは、あの時点ですでにリトミックをしていました。


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